6月は「梅雨枯れ」。プロレスの興行にとっては、GWと夏休みの狭間にあって最も苦しいシーズンだ。
この時期、全日本の命運を託されたのが元横綱・曙である。さる5月21日、東京・後楽園ホールで行なわれた三冠ヘビー級選手権試合。挑戦者・曙が王者・潮崎豪を21分29秒、新殺法のヨコヅナファイナルインパクト(両腕を固めての脳天突き落とし)でKO。1年ぶりに王座を奪回し、再び全日本マットのど真ん中に立った。
「心技体ががっちり合っている」の勝利コメント通り、怒濤の攻めだった。潮崎がブレーンバスターにくるところを逆に押し倒し、210kgの超重量でボディプレス。あとは勢いに乗ってタイトル戦とっておきの“武器”で一気に勝負をつけた。プロレスに転向してちょうど10年、とかくスタミナ面で疑問視されてきた曙だが、20分を超える試合をこなしたことはひとつの進歩の証だろう。昨年、体調不良(不整脈)でベルトを返上した無念を晴らすファイトであったことは確かだ。
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photograph by NIKKAN SPORTS