空前の大相撲ブームの中、昇進のたびに最年少記録を塗り替え、
父と同じ大関に昇りつめた20歳。師匠・貴ノ花の名を継いで、
挑んだ横綱への道は、あまりにも険しく長いものだった。
父と同じ大関に昇りつめた20歳。師匠・貴ノ花の名を継いで、
挑んだ横綱への道は、あまりにも険しく長いものだった。
土俵にすべてを捧げた若き日の記憶。
それを手繰りよせた時、貴乃花がまず挙げたのは、意外にも“恐怖心”だった。
「実は子供の頃から臆病で、怖がりで。入門してからは、プロの世界には凄い人がたくさんいるなあ、と驚くばかりでした。同時に、この人たちと戦うのは怖い、と。何年経っても、自分の根底には、戦う相手に対する怖さがありましたね」
貴乃花は「いまだにお化け話も苦手で」と付け加えて、苦笑いをみせた。
'88年に15歳で身を投じた国技・大相撲の現場。少年には勝負に生きる猛者たちがひしめき合う修羅の世界に映った。
「私は父の“分け身”だと思ってやってきました」
当時も今も、貴乃花の中で絶対的な支柱となっているのが、師匠である父――初代貴ノ花(享年55)の存在だ。
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photograph by Naoya Sanuki