シーズン全勝、日本人史上初となる世界選手権3連覇。前人未到の記録を打ち立て、夢中で駆け抜けた1年。それでも目指すべき到達点は、まだまだ先にある。24歳の現在地とこれからを、等身大の言葉で明かす。(原題:[世界女王インタビュー]坂本花織「まだ達成感はないです」)
「人生には3つの坂があるのと一緒です。『上り坂、下り坂、まさか』。そんな人生を常に送っているので(笑)。自分の人生ってほんとうにハプニングとトラブルとアクシデント……全部一緒の意味だけど、そういうのしか起こってなくて。時間が経てば笑い話になることだな、また一つネタが増えたなって思いました」
坂本花織は3月下旬、カナダ・モントリオールで行われた世界選手権で優勝した。北京オリンピックで銅メダルを獲得した2021-'22シーズンに同選手権初優勝を果たすと翌シーズンは連覇を達成。そして今シーズンの優勝により3連覇を成し遂げた。日本では男女を通じて初、世界でも女子では56年ぶりの快挙である。
そこに至るまでの日々の中で、坂本は思いがけない出来事に何度も直面し、それを乗り越え続けてきた。
体調不良、SP4位…「思いがけない出来事」が続いた。
そもそも今年の世界選手権は、決して万全な準備を経て臨んだ大会ではなかった。大会前、インフルエンザにかかったことで、想定していた練習を行えないまま本番を迎えることになったからだ。
「(体調不良から)復帰したとき、大会に出発するまであと10日間くらいしかなくて。本来ならもっと練習が積めていたはずなのに、と」
「ただ」と付け加える。
「短い期間のわりに練習はうまくいきました。今までだったらいい練習を積めていると、その一方で『早く試合来てくれへんかな』と焦る気持ちもあったんですけど、今回は短期集中での調整がうまくはまったので、試合会場に入ってもポジティブに練習に励めた感じがします」
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photograph by Shino Seki