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《リードオフマン》近本光司の「5つの“秘”常識」…自主トレで「ワニ」に転生、アニメの守備範囲も広い、コーヒーは「ずっとアイス」

2024/03/28
近本は3年連続でベストナインにも選出されている
3年連続ベストナインに選ばれた虎の切り込み隊長。「独特の感性の持ち主」と括られてしまいがちだがその裏には本人なりのれっきとしたワケがあるのだ。虎番記者がその思考回路にインタビューで迫った。

1.自主トレするならぼっちキャンプがいい

 近本光司は2021年から毎年、鹿児島県沖永良部島で一人で自主トレーニングを行っている。

 その場所のチョイスも、単独行動というのも今の野球界では珍しい。縁のなかった離島を選んだ決め手は出身のプロ野球選手やすでに自主トレをしている選手がいないことだった。

「誰かがいるなら僕が入らなくてもいいかなと思っていた。そういう環境がないところに行きたかった」

 島には球場も室内練習場もない。原っぱのようなグラウンドに、島民有志が建築現場の足場材を流用した打撃ケージを作ってくれた。そんな手作りのぬくもりが近本にとっては何より心地よいらしい。

 来島は今年で4年目を迎え、島民との距離は年々密接になっている。1月には島で優勝パレードが開催され、オープンカー代わりにトラックの荷台に乗車した近本と島民が、間近で喜びを分かち合った。

「僕からは元気や楽しみを届けるのが仕事。それを見て応援してもらえることが大きな原動力になる。シーズン中、しんどい時も『もうちょっと頑張ろう』と思える」

 自主トレは“ソロキャンプ”のスタイルを貫く。「自分のペースでやりたい」というのが理由の一つ。球界屈指のリードオフマンから学びを得ようと、合同でのトレーニングを望む声は後を絶たないが、全て断ってきた。理由は明確だ。

「その選手の人生も背負うことになる。そこまで責任を取れない」

 オフのトレーニングはシーズンに向けた重要な準備期間となる。目的や課題を設定し、そこに向けて「やりたいこと」を突き詰めていく。一方で「同じ練習をやっても甲子園とはしんどさが全然違う」とメンタル面のリフレッシュという側面もある。

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photograph by Yoshihiro Ishiyama(Illustration)
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