#1066
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「アントニオ猪木さんにはなれない」なつぽいの“妖精レスラー”としての葛藤…でも「逆風にあえて抗わない」理由《独占告白》

2024/02/05
芸能界からプロレス界へ、偏見つきまとう転身を支えたのが、バトントワリングで鍛え上げたフィジカルの基礎だった。“小さくても強い”人気選手が明かす肉体へのこだわり。[初出:「Sports Graphic Number」1066号(2023年1月12日発売)]

 スターダムの人気レスラー、なつぽいは“リングの妖精”、“ハイスピード・フェアリー”というキャッチフレーズを持っている。小柄で華のあるビジュアルに加えてリング上を軽やかに舞うような闘いぶりは、まさに妖精だ。

 背中には“妖精の羽”もある。写真で見るとよく分かるが、なつぽいはいわゆる“マッチョ”ではないもののかなり筋肉質で、とりわけ発達しているのが背筋だ。それを本人が羽になぞらえたのだが、実際に彼女の肉体はファイトスタイルと密接な関係にある。

「私は小柄だしパワーファイターではないので。スピードがあって小回りがきくような動き、大きい人にはできない闘い方を意識してます」

 子供時代から芸能界で活動し、役者を目指しながらアクトレスガールズの1期生としてデビュー。同期の安納サオリとともに2トップと呼ばれた。東京女子プロレスではインターナショナル・プリンセスのベルトを獲得、初代王者となった。2020年からスターダムに移ると、ハイスピード王座、6人タッグ王座、タッグ王座に就いた。小さいのに、ではなく小さいからこそ強い。そんな闘いで結果を出し続けた。

 新人時代は「ワールド女子プロレス・ディアナ」で出稽古。レジェンド女子選手である井上京子が率いる団体で、伊藤薫の指導を受ける。京子も伊藤も、日本の女子プロレスの源流である全日本女子プロレス、略称“全女”出身だ。なつぽいは、老舗直系の練習で実力を蓄えた。

「伊藤さんの練習は、まず基礎体力から。走って縄跳びして息を上げて、それからリングで筋トレ。受身とか技の練習に入るまで2時間くらいかかるんです(笑)」

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photograph by Nanae Suzuki
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