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「“マズい”から“うまい”へ」プロテインと筋肉を巡る今昔物語…最大の革命は1998年「ソイ」から「ホエイ」への原料転換

2024/02/03
いくら混ぜても水に溶けにくいし、のどごしは悪くて、何よりマズい――。かつてのプロテインは確かにそうだった。だが、それは今やもう昔話である。製造・販売メーカー勤続30年のスペシャリストが最新事情を解説する。

 時代は変わった。身体が小さい日本人だって、鍛えて鍛えて鍛えまくればフィジカルの勝負で世界と渡り合える。だから筋肉はどんなアスリートにとっても武器になり得るし、一般人である僕らにだって、健康を維持して若々しくあるために必要だ。誰だってムキムキの身体になって、「パワー!」と叫んでみたい(はず)。

 プロテインが素早く筋肉を手に入れるために効率的なアイテムとなり得ることは、すでに多くの人が知っているだろう。近頃のプロテインは種類も味も多彩。スポーツ用品店に特設コーナーが設けられていたりするからその人気もよくわかる。

 でも、ちょっと待って。ほんの少し前まで「味がマズい」だの「値段が高い」だの「飲みにくい」だのと、ネガティブな意見も少なくなかった気が……。筋肉とプロテインの蜜月って、いったいいつから始まったのだろう。スポーツサプリメントのパイオニアとして知られる健康体力研究所の広報、上野俊彦さんに聞いてみた。

 プロテイン、すなわち日本語で言うところの「タンパク質」という言葉が初めて用いられたのは1838年のこと。その後の研究でタンパク質が筋肉の元となることがわかったのだが、肉や魚、卵といった高タンパク食材は脂肪分が多すぎて摂取しにくいという問題があった。

 ところが、1950年代にアメリカでボディビルディングの人気が高まると、卵白から作られる粉末状のタンパク質が開発された。これがボディビルダーの間で人気商品となり、研究開発が進んで一気に拡大したという。さすがアメリカ。新しいモノへの飛びつきがとにかく速い。

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photograph by Shinji Abe(Illustration)
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