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羽生結弦の“原点”と未知なる世界への一歩…北京五輪で「9歳の自分」と一緒に飛んだ4回転アクセル<2022年シーズンを終えて>
どうしようもない困難と向き合ったとき、人はそれをどう乗り越えていくのか―。
誰もが人生で一度は対峙するであろうそんな問いかけに対し、羽生結弦は自分にしかできない答えを、北京五輪で示してみせた。
競技人生すべてを懸けて挑んでいた、3度目の大舞台だった。
ソチ、平昌と五輪連覇を成し遂げたあと、最大のモチベーションとしてきた「4回転アクセル」。前人未到の技の成功を心に抱き、コロナ禍のなかでも試行錯誤を重ね、五輪シーズンの今季、代表選考の要となる12月の全日本選手権で遂に実戦投入を果たした。結果は回転不足ながらも両足で着氷。その他を完璧な演技でまとめて優勝し、北京への切符を手にすると、五輪での大技の成功に周囲の期待は膨らんだ。
そうして迎えた北京五輪。磨き上げたプログラムの完成形は、しかし、その幕開けから思いがけない形で砕かれた。
ショート『序奏とロンド・カプリチオーソ』の冒頭、4回転サルコウが1回転となった。
「穴に乗っかりました」
2019年の世界選手権のショートでも、羽生は6分間練習で自身が作ったトレースにはまり、ジャンプを失敗したことがあった。その経験をいかし、今大会では6分間練習で少し軌道をずらして跳び、試合では本来の軌道で入ろうとした。だが演技本番、そこにあったのは他の選手が空けた穴だった。
どうすることもできない出来事。だが、どうすることができなくても、それは残酷なまでに成績にそのまま反映される。羽生は8位という順位にとどまった。
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