#920
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「ボクシングは恋人」「僕には真似できません」長谷川穂積と山中慎介が語りあった「拳の王者」の資質《初対談/2017年》

2023/12/20
2017年に初めて対談をした山中慎介(左)と長谷川穂積
昨年12月に引退を表明した3階級制覇の王者と、「神の左」を持つ現役王者。初めての対談で明かされた互いの技術論、王者の矜持、ボクシング「美学」について。(初出:Number920号[スペシャル対談]長谷川穂積・山中慎介「王者から王者へ」)

―2人が対談するのは、テレビや新聞でも記憶にないのですが。

長谷川 そう、初めてなんです。

山中 まあでも去年の夏の沖縄キャンプは一緒でしたし、12月にはフロリダで開かれたWBC総会にも2人で行ってますからね。結構、話はしています。

長谷川 総会で一緒やったんで、山中選手の今後のプランを俺が勝手に練ったんですよ。具志堅(用高)さんの持つ防衛記録を抜いて15回は防衛するか、はたまた防衛を捨てて階級を上げて2階級制覇するか。どっち達成したら面白いかなって。

山中 僕としては1試合1試合しっかり勝っていきたい、と。積み重ねてきたことで視野が広がってきたところもあるので、具体的な目標を決められない自分がいるんですけどね。

長谷川 いや、俺もそうやったからそれでいいとは思うよ。(チャンピオンのときは)永遠に防衛できると思っていたし、山中選手も誰かに負けるなんて思ってないでしょ?

山中 まあ、そうですね。

長谷川 ただ、自分も1試合1試合勝っていくだけやったけど、ポツッと負けた。もっと気持ちが入っていたら勝てたのに、とか。そう思ったところでもう後の祭りなんでね。

―ポツッというのは、WBC世界フェザー級王座初防衛戦のジョニー・ゴンサレス戦、IBF世界スーパーバンタム級王座に挑戦して敗れたキコ・マルチネス戦のことでしょうか?

長谷川 そうですね。あくまで自分の経験上、具体的に目標を持ったほうが負けにくいんちゃうかな、と。だからなおさら山中選手には目標を持ってもらいたい。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Takashi Iga

0

0

0

前記事 次記事