執念の逆転劇だった。
世界選手権女子やり投げ決勝。メダル圏外の4位で迎えた最終6投目。北口榛花は大観衆の手拍子をあおると、渾身の力を振り絞り、やりを放った。トップに立っていたコロンビアのルイスフルタドを土壇場で逆転する、66m73のビッグスロー。満員のスタジアムは、割れんばかりの声援と拍手に包まれた。
「手拍子が背中を押してくれました。“みんな応援してくれているんだ”と」
好記録を確信すると、子どものように無邪気に跳びはね、何度もガッツポーズを見せた。
「自分が必ず歴史を作ると決めてここにやってきました。本当につらいことはたくさんあるけれど、今日だけは世界で一番幸せです」
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photograph by Tsutomu Kishimoto