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「人生を賭けるなら、今しかないと思った」eスポーツ界の新星・翔は福島の温泉地から世界へ<優勝賞金40万ドル獲得で話題>

2023/11/04
今年8月、日本から8000km以上離れた中東の地で、精悍な表情の俊英が世界に名を揚げ、大金を掴んだ。引きこもりから社会人を経て専業プロへ――。格ゲーの世界で輝き出した若武者の素顔に迫った。

「勝った瞬間は、正直何も考えていませんでした。最後の最後まで気を抜かずに、次の一手のことを考えよう――そう思いながら目の前のモニターに集中していたら、試合が終わっていて。だから勝った実感がすぐには湧きませんでした」

 eスポーツチーム『FUKUSHIMA IBUSHIGIN』に所属するプロゲーマー『(かける)』は、はにかみながらそう語った。格闘ゲームのプロゲーマーではまだ若手に位置する26歳の翔は、2023年8月にサウジアラビアで開催された招待制の国際eスポーツ大会「Gamers82023」で優勝。一夜にして40万ドル(約6000万円)を手にして、世界にその名を轟かせた。

 翔が主戦場とするゲームタイトルは、'23年6月に発売された人気対戦格闘ゲームシリーズの最新作『ストリートファイター6』だ。翔は11時ごろに起床し、16時ごろから深夜1〜3時に寝るまで毎日練習している。

「その間はずっと(配信サイトの)Twitchで配信もしています。練習の様子に加えて、休憩や食事もコンテンツとしてファンと時間を共有しているんです」

 福島県福島市の温泉街、飯坂温泉。風情ある旅館が立ち並び、裏手には川が流れるなど自然に囲まれた中にある一軒家が翔の活動拠点だ。オーナーやチームメンバーらと共同生活を送っているが、都心部ではなくなぜ福島を選んだのだろうか。

「実は3月に仕事を辞めて、プロゲーマー一本での勝負を始めました。その際、オーナーから『福島にチームの拠点を移すから、みんなで一緒に暮らしながら強くなろう』という提案を受けたのがきっかけです」

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photograph by FUKUSHIMA IBUSHIGIN

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