試合を振り返り出てきた言葉は審判への怒りと、優勝を逃した悔しさだった。
オランダ史上3度目のW杯準優勝。その原動力となったのが、ウェスレイ・スナイデルだ。今大会5ゴールを挙げ、ビジャ(スペイン)らとともにW杯得点王に輝いた。オランダ人としては史上初の快挙である。
だが、スナイデルは怒っていた。
個人成績よりも、チームの栄冠が重要――スペインとの決勝戦で敗れたいま、得点王の栄光も、彼にとっては意味がないという。
「主審が俺たちの決勝戦を奪った」――大会直後に成功したスナイデルの独占インタビューは、怒りの発言から始まった。
――主審批判とはいきなり強烈だね。
「だってそうだろ。あのイングランド人(ハワード・ウェブ主審)が俺たちの決勝戦を奪ったんだから。何度でも言うさ。あのジャッジが、フットボールを台無しにしたんだ」
――具体的にどんなジャッジがミスだったのか、指摘してほしい。
「最初は、僕の直接FKだね。壁に当たって、その後GKが触ってラインを越えたんだけど、CKにはならなかった。あと、試合中にはこんなこともあった。イニエスタがオフ・ザ・ボールの場面で、ファン・ボメルを蹴っ飛ばしたんだ! 第4審判(西村雄一審判)はこの場面をはっきりと見ていた。実際、彼は『Yeah, I saw it(ああ、見ていたよ)』と言っていたよ。あの場面を見ていたなら、当然レッドカードだ!」
「短い時間の中で3つもの誤審が生まれていたんだよ」
――でも悪いけど、その程度のジャッジのミスで試合を台無しにしたとは言い過ぎでは。
「まだまだある。イニエスタのゴールのシーンだ。ゴールをアシストしたパスは、オフサイドじゃない。でも、その直前のプレーは明らかなオフサイドだった。イニエスタがプレーに関与していたのだからね。だって、彼へのパスの場面で、イニエスタがオフサイドだったんだ。なぜ、副審は旗を上げない! オフサイドが正当に認められていれば、あのゴールは生まれていなかった。どうだい、短い時間の中で3つもの誤審が生まれていたんだよ。これをスキャンダルと呼ばずして、何と呼ぶ!」
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