#993
Special Feature

記事を
ブックマークする

「ちょっと目標が低すぎます」石川祐希の代表監督への“直言”と「微塵もなかった」プロへの意識<単独インタビュー/2019年>

2023/10/21
昨季、世界最高峰リーグでプロとして戦った手応え。それはあまりにも大きな経験と財産になった。エースが描くプロ2季目、その先の未来図とは。(初出:Number993&994号石川祐希 「僕がイタリアで戦う意味」)

「いろいろな国の選手がいる中での生活は新鮮だし、新たな発見もありますね」

 イタリアでのプレーも5シーズン目。現地の生活にも慣れ、楽しんでいるようだ。

 今秋行われたワールドカップバレーボールで日本代表は目標としていたメダルには届かなかったが、28年ぶりに4位入賞を果たした。前回のW杯も経験しているエース石川祐希は複数のブロックに付かれても、苦しい場面でトスが上がっても打ち抜き、得点を積み重ねた。全体5位となる159点を挙げ、スパイク決定率も52・09%の高い数字を残した。スパイクの総数263本はチーム内で最多。守備面でも貢献した。

 さらに、試合の流れが悪くなりかけると最年少の西田有志に、「思い切りプレーしろ」と声をかけるなど、随所でチームメイトを鼓舞する姿が見られた。プレー面はもちろん、精神面でも大きな支柱となっていた。

 今季は代表の始動時から、チームのためになることは、厳しい言葉であっても発言してきた。たとえば始動初期のこと。「今季の目標は(W杯で)ベスト8」という中垣内祐一監督の言葉に、「それはちょっと低すぎます」と指摘したという。

「シーズンを通して選手とスタッフの目標に違いがあるとチームはうまく回りません。目標を達成するためには意思統一しないと無理ですから。そう発言することは、僕の中ではスタンダードになっていますね」

 どちらかといえば、これまでは周囲に働きかけるよりも自分のプレーにフォーカスしていた。黙々と準備し、やるべきことを実行するタイプだった。しかし、今季は以前にも増して自身のプレーはもちろん、周囲に対しても主張する姿が多々見られ、顔つきや視線も鋭くなった。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Itaru Chiba

1

0

0

前記事 次記事