プロである以上、個人レベルを上げる労力を惜しむわけにはいかない。ただ、チームスポーツの場合、そのひた向きさが、必ずしも勝利という形に結び付くとも限らない。
エンゼルス大谷翔平が8月9日、ジャイアンツ戦で白星を挙げ、ベーブ・ルースも届かなかった史上初の2年連続「10勝&2桁本塁打」を達成した。打者として本塁打数などのタイトル圏内に位置するだけでなく、勝利数、奪三振数でも上位にランクされるなど、「二刀流」のレベルは、一段とアップした。米メディアの間でも、2年ぶりのMVPを疑う声は聞こえてこない。
その一方で、プレーオフ争いの佳境を前にして、大谷の胸中に、わずかな変化が見え始めた。10勝目を挙げた一戦後も、マウンド上では苛立つ表情を隠さなかった。試合後には、「疲労はみんなピークぐらい。休みが必要なら休むことも仕事として大事」と、珍しく休養を視野に入れていることをほのめかした。今季は3月のWBCから出力全開で走り続けた。それでも、5月2日を最後に完全休養日はなく、球宴出場を含め、立ち止まることなく、グラウンドに立ち続けてきた。「ユニコーン」と呼ばれる大谷とはいえ、リフレッシュを必要としても不思議ではない。
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photograph by JIJI PRESS