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【動画】「3年でクビになると思っていた」日本選手権覇者・森凪也が語る“崖っぷち”精神と箱根駅伝での不完全燃焼「相性が悪かったのかな」《インタビュー/前編》

2026/07/04
 今、日本のトラックで最強の長距離ランナーは誰か。観戦するファンや取材を続けるメディアに問えば、多くの人が森凪也だと答えるだろう。今季、3000mで7分38秒98という日本新記録を樹立し、1500mでも日本歴代3位の好タイムをマーク、そして日本選手権5000mでは見事に初優勝を飾った。
 だが、順風満帆な道を歩んできたわけではない。中央大学では思うような結果を残せず、競技を辞めることも考えたという。だが、Hondaでブレイクを果たし、5000m12分台を視野にさらなるレベルアップを目論んでいる。インタビューは合計60分弱、“最強ランナー”にじっくりと話を聞いた。《インタビューは前後編の2本立て。後編はこちら

 6月の日本選手権。男子5000mで初優勝を飾ったのが森凪也(Honda)だ。昨年はアジア選手権と東京世界陸上で「日の丸」を付けた森は優勝候補筆頭と目されていた。だが、日本選手権では、一昨年、昨年と2年連続で2位に甘んじていた。

「一昨年は初出場だったのでそんなに注目もされていなくて、期待値もそこまで高くないなかサプライズで2番になることができて、自分としてもうれしい気持ちでした。でも、去年は自分でも優勝すると思っていたし、そう思ってくれていた方がたくさん応援してくださった中で負けた。悔しい2番でした」

 今年の日本選手権はアジア大会の選考レースでもあったが、森は派遣設定記録(13分14秒36)を唯一人突破しており、なおのこと勝負にこだわった。前年覇者の井川龍人(旭化成)、中大とHondaの後輩でもある中野翔太との優勝争いになったが、磨き上げてきたラストのスピードを武器に、熾烈なスパート合戦をしっかりと勝ち切った。

「目標を1年越しに達成できたことがすごくうれしかったです」

アジア大会代表の切符を手にした森 photograph by NIKE
アジア大会代表の切符を手にした森 photograph by NIKE

 森は、箱根駅伝で最多優勝回数を誇る名門・中央大学出身。だが彼が入学したのは、予選会校から抜け出せずに低迷していた時期。それでも、藤原正和駅伝監督が就任して復活の兆しが見え始めていた。さらに、森が3年生の時には中野や吉居大和(現・トヨタ自動車)といった高校時代に実績のある選手が入学し、チームの注目度も高まった。

「スターが入ってきて中大が変わる転換期になりそうだなって。自分はそこに飲まれないようにしつつ、チームを引っ張っていけたら面白いなと思っていました」

 そんな過渡期、森は箱根駅伝に2度出場。2年時に7区、そして3年時にはエース区間の2区を任されたが、それぞれ区間12位、16位と納得のいく走りには程遠かった。

「田舎から東京に出てきて、いつの間にか注目されていることに、僕の中では違和感がありました。箱根で好成績を収めて目立ちたいというのがあんまりなかったのと、箱根は大事だから、失敗したらどうしようと感じる部分がすごく大きかった。相性が悪かったのかな……」

 大学三大駅伝(出雲、全日本、箱根)を走ったのはこの2回のみで、4年間でめぼしい成績を残すことはできず、「なかなかうまくいかなかったですね、僕の場合は。空回りしていたのかもしれません」と語る。

 空回りをしてしまった精神的な理由は何か。そして後輩・吉居大和と自分自身との差を「う〜ん。スター性ですかね」と答えた裏に滲んだプライドとは何か。インタビューではじっくり語ってくれている。

 そして実業団のHondaに進み、ブレイクできた理由は何なのか。本人は「3年でクビになると思っていた」とシリアスなことを爽やかな笑顔を見せつつ、こう振り返った。

「ひどい状態でHondaに入社したので、監督もそんなに期待していなかった。『とりあえず、まずは5000mをやってみるか』と言われて、僕も気を楽にしてやっていました」

 3年目の2024年にタイムがグッと上がると、翌年にはブレイク。一気に日本代表まで駆け上がり、今季はシーズン前に立てた3つの目標のうち、『日本選手権優勝』と『3000m日本記録更新』をすでに達成。残す目標は3つ目の『5000m日本記録更新』だ。大迫傑が13分08秒40の日本記録を打ち立ててから11年が経つが、歴史を動かす準備はできているという。

 動画インタビューでは、実業団に入ってから成長できた精神的要因、ラストスパートを磨くために意識している練習などブレイクの背景についても冷静に、自分の言葉で語ってくれた。

photograph by NIKE
photograph by NIKE

ラストスパートを支える「乳酸」と向き合う練習

 インタビューは前後編の2本立てで、前編では以下のようなトピックについて語ってくれた。

  • 「乳酸」と向き合うトレーニング内容
  • 「勝負できなかった」東京で感じた世界トップとの差
  • 森の考える「ライバル」とは?
  • 使い分ける“自分の意見”と“俯瞰の目”
  • 高地合宿を使いこなす方法「MDCでは…」
  • 「GINZA MILEはいいチャンス」1マイルレースの意義
  • マラソンの捉え方とは?

 森の口調からは、率直さが感じられた。迷い、苦しみながらも辿り着いた現在の自分自身へ確かな手応えを感じているからだろう。各メディアとの合同取材を収めたこの前編40分弱、そして個別インタビューを収めた17分弱の後編をご覧いただければ、日本長距離界「最強ランナー」の素顔が伝わるはずだ。

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