「高校時代のことを、秀悟が話しているところって見たことないですね。僕らも未だにちゃんと話をしたことはないですから」
オールスターで岡本和真が牧秀悟の顔面Tシャツを着てホームラン競争に優勝した日。長野県北部の須坂市では、牧の記念Tシャツを律儀に着こなしたかつての松本第一高校のキャプテン、宮崎大瑚が旧友に想いを馳せていた。
牧の高校時代の情報は極端に少ない。なぜなら牧の夏は2年生、3年生ともに県初戦でノーシード校に敗退しているからだ。
松本第一が弱かったのか。いや、むしろその逆だ。歴代最強と言われたこの時代。2年生の牧が4番を打っていた2015年の夏は第4シード。翌年は春の長野県大会を優勝し、第1シードを取りながら敗れてしまう2年連続での大番狂わせだった。
「本当に、夏はこわいです。いまだに悔しいし、申し訳ない気持ちにもなります。でも3年間、メンバーと濃密な時間を過ごすことができた。笑って、泣いて、怒って。秀悟は今と何も変わらない。いや、変わりようがないんじゃないですかね。どんなデカい舞台でも、相手が誰だろうと動じない。昔から“打ってほしい”という場面では、絶対に秀悟は打つ。場の空気を盛り上げ、貪欲で、向上心の塊で、仲間思いで、歌って、踊って、一発芸。裏表なく、あのまんまですよ」
宮崎と牧は長野若穂リトルシニアからの旧友だ。牧は小学生の頃から本塁打53本を放ち近隣で知らぬ者はいない有名人。ベイスターズでは、昨年24歳の誕生日にその落ち着きぶりから「42歳」と祝われたが「確かに中学1年生のときも30代ぐらいの貫禄がすでにありました」と笑う。
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