雰囲気のいいチーム作りの秘訣は、若手が伸び伸びできる環境を作ることだった。ロッカールームの景色を一変させた、先代主将のレガシーを継ぐ者たちの物語。
「“野球を楽しむ”ということを、初めて教えてもらった感覚だったんですよ」
横浜DeNAベイスターズの大和は、2018年にFA移籍してきたときのことを思い出すと、笑顔を見せ頷いた。
「とにかく最初、ベイスターズの明るさに圧倒されたんです。勝とうが負けようが、とにかく切り替えが早い。とくに勝ったときのロッカールームはお祭りみたいだし、遠征のバスの中でも“どんちゃん騒ぎ”。いやもう衝撃を受けたし、みんな野球を楽しんでいるなって、本当に新鮮でしたね」
DeNAの最大の強みは、この明るさに裏打ちされたチームワークの良さと、野球を最大限に楽しむといった気風だ。
若き主砲である3年目の牧秀悟も、DeNAには他球団には見られない一体感があると語る。
「例えば誰かがヒットを打ったとき、塁上で手を挙げてパフォーマンスをしたり、ベンチはそれに指差しで応えたり、他のチームを見るとそういうことをあまりやっていないんですよ。もちろんそこで感情を隠すことも大事なのでしょうが、僕としてはそっちのほうが、チームで戦っているなって感覚にもなるし、ベンチも盛り上がるから、すごくいいなって」
このDeNAの独特の雰囲気はどこから来ているのか?
振り返れば'12年にDeNA体制となり、初代監督に中畑清が就任した。それまでBクラス常連で重たい空気が立ち込めていたチームに中畑監督は、明るさと元気のよさ、そして諦めない姿勢を注入した。選手たちの意識は変わっていき、チームは徐々にではあるが成長をしていった。
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photograph by SANKEI SHIMBUN