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<センバツで3年半ぶり完全復活>智辯和歌山・吹奏楽部の歯痒さと“魔曲”ジョックロック【団結力はスタンドから】

2023/07/23
3年ぶりのセンバツ出場となった智辯和歌山は生徒と保護者、総勢約3000人がアルプスに詰めかけた
コロナによる継承の危機を乗り越え、様々な想いが込められた2023年の春、ジョックロックでアルプスは一体となった。

「かっとばせー! ハルト! ハルト! ハルト! オー! 智辯!」

 新型コロナウイルスに伴う制限の緩和により、3年半ぶりに大声援が戻ってきた2023年のセンバツ。全国に多くのファンを持つ智辯和歌山高校の名物応援曲『ジョックロック』も掛け声が入り、久々のフルスペックバージョンだ。

 英明との初戦、1点を追う9回裏、中塚遥翔の打席で流れた“魔曲”。そのすさまじい一体感は、アルプススタンドで鳥肌が立つほどだった。

『ジョックロック』とは、ヤマハのミュージックソフトにサンプル音源として収録されていた曲で、かけ声が入れやすい曲調ということもあり、1998年頃、吹奏楽部初代顧問・吉本英治氏が応援曲に採用。応援団OBで、現在顧問を務める坂上寿英氏は、「自分が高3の時に使い始めましたが、複数ある応援曲の1つで、特別な曲ではありませんでした。ただ、『新曲が出来た』といわれて聴いた中でも特にかっこよくて、野球部からも評判がよかったのを覚えています」と当時を振り返る。

 あくまでも、応援曲の1つだったこの『ジョックロック』を演奏すると、それまで抑え込まれていた打線に突然連打が生まれたり、あるいは相手にエラーが発生したりと、なぜかビッグイニングにつながるという現象が続いた。11回裏に得点し、7-6でサヨナラ勝ちした2000年夏の柳川戦や、9回裏に5点を奪い、13-12で逆転サヨナラ勝ちした2006年夏の帝京戦など、数々の伝説を作ってきた。

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photograph by Yukiko Umetsu

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