アルプススタンドに鳴り響き、球児を奮い立たせる音色は先人から後進へ。時に敗者から勝者へ託される甲子園のブラバンの歴史はそうやって紡がれてきた。
ヒットが出て、高らかに鳴り響くファンファーレ。ランナー出塁時、ここぞという場面で流れるチャンステーマ。アルプススタンドを彩る名応援曲は数あれど、近年、完全吹奏楽目線で全出場校を観戦する筆者の胸が思わず熱くなったのは、2016年夏、佐久長聖のアルプススタンドから流れてきた、PL学園の『ウイニング』と『ヴィクトリー』だ。
桑田・清原の「KKコンビ」が活躍した3年間を中心に、繰り返しテレビ中継で流れた名物応援曲だが、2009年の夏を最後に、甲子園で流れることはなかった。硬式野球部が休部となり、もう二度と甲子園で聴くことができないと思っていたあの曲が佐久長聖アルプスから突如流れてきたのだから、往年のファンがざわついたのも当然といえるだろう。
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photograph by SANKEI SHIMBUN