僕って表情に出やすいらしいんですよね、と言って菅野智之は笑った。プロ11年目の今年は周りから「充実した感じがするね」とよく言われるのだという。
「実際、キャンプはすごく気持ちよく野球をやれていたと思うんです。心も身体も充実していて……やっぱりそれが顔に出ていたんですかね」
プロ10年目の昨年、2年ぶりに2桁勝利を挙げた菅野だったが、東京五輪に続いてWBCでも選外となってしまう。昨年の前半、菅野は技術的な悩みを抱えていた。それは野球人生で初めてのことだった。
「僕の頭の中には決まったメカニズムがあって、フォームについてあまり深く考えたことがなかったんです。足を上げて体重移動して、腕を振ったらボールは狙ったところへ行く……その感覚だけで投げていました。でも去年、よくない時期に映像を見たら、イメージとはかなり違う投げ方をしていたんです。メカニズムが崩れているとは思ったんですが、どうすればいいのか、アプローチの仕方がわからない。何しろ自分の中に基礎となる考え方がなかったので、これには苦労させられました」
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photograph by Nanae Suzuki