2023年の米大リーグは、いくつかの野球規則の改正があって迎える注目の1年だ。いわゆるピッチクロックの導入、極端な守備シフトの制限などだが、改正によって、間違いなく大きく影響が出ると思われる記録は盗塁だろう。
盗塁に影響を与える改正は、けん制球の制限と、ベースの大型化だ。けん制球は、プレートを外す行為を含めて2回までとされ、3回目は、アウトにできなければボークになるという内容だ。ベースに関しては、一塁から三塁のベースが約38cm四方から約46cm四方になるため、リードをより大きく取ることが可能になり、相手のタッチをかわしてスライディングする際には、より大きくタッチをかわしたうえで、ベースに触れるという動作が可能になるはずだ。
足の速い選手はスタートが切りやすくなり、タッチをかわしやすくなるわけだから、盗塁では相当に優位に立てるはずで、盗塁王の選手の盗塁数だけでなく、チーム盗塁数も増えるはずだ。最近の米大リーグにおいて、盗塁はあまり採用されない戦術になっていた。
表にまとめたように、'22年はチーム盗塁数が1位のレンジャーズでさえ128盗塁だけで、'17年以降、最近の6年間では最もよく走っているチームでさえ、平均して1試合あたり1盗塁を記録していなかった。同じ'17年以降、年間で100盗塁以上を決めていたチームは5チームから8チームしかなかったのだ。
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photograph by Yuzuru Ichimura(Illustariton)