#947
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【独占告白】ブライアン・オーサーが語る“空白の3カ月”の真相と平昌五輪金メダル「困難を乗り越えたユヅを誇りに思う」《インタビュー/2018年》

コーチのブライアン・オーサー(左)、ジスラン・ブリアン(右)と喜びを分かちあう羽生
昨年11月のNHK杯、公式練習で右足首を負傷した羽生は、約3カ月にわたって実戦から離れることを余儀なくされた。大会直前に訪れた空白の時間。その裏側で何が起きていたのか。寄り添ったコーチ自らが、絶対王者復活までの道程を明かした。(初出:Number947号 [空白の3カ月を語る]ブライアン・オーサー「困難を乗り越えたユヅを誇りに思う」)

「嬉しさと興奮と、まだ気持ちが消化しきれていないです」

 羽生結弦がオリンピック2連覇を果たした2日後の2月19日、独占インタビューに応じたブライアン・オーサーコーチは、そう口を開いた。

 今回の羽生の優勝は、コーチであるオーサーにとって、バンクーバーのキム・ヨナ、ソチの羽生に続く、3大会連続のオリンピック金メダルとなる。

「でも今回のユヅの金メダルは、特別なものです」とオーサーは熱っぽく語る。

 11月9日、羽生がNHK杯公式練習中に怪我をしたとき、胆嚢の手術から回復中だったオーサーは同行していなかった。

「映像で転倒した様子を何度も見て、これはかなりひどい怪我だとわかりました。膝も痛めたかもしれないと恐れていたけれど、幸い膝は大丈夫だった」

 羽生はトロントでリハビリするため、11月の半ばにはカナダに戻ったという。

「私は彼と向かい合って座り、話し合いをしました。どう考えているのか、と聞いたら、『(オリンピックで)勝ちたい』とはっきり言った。ではしっかり計画を練っていこう、と言ったんです」

 オーサーはプログラムの内容の変更や小さなゴールをいくつか定め、決して無理をしないことなどを綿密に話し合ったという。

「彼は冷静でした。落ち込むこともなく、自分の体の声をしっかり聞いて、忍耐強く計画に忠実に従っていったのです」

 陸上でのリハビリ活動は、もっぱら本人と専門のトレーナーに任せていたという。1月上旬にようやく羽生が氷の上に戻ってきたとき、オーサーはカナダ選手権などの大会に行っていて不在だった。

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photograph by Sunao Noto/JMPA

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