2月1日、マリナーズ本拠地Tモバイル・パークでは、キャンプ前に恒例の記者会見が開かれていた。
地元メディアを対象とした同会見では球団フロントとスコット・サービス監督、主だった新加入選手らが質問を受ける。冒頭、ジェリー・ディポト編成本部長が笑顔で切り出したのは、開幕投手の有力候補ルイス・カスティーヨがWBCドミニカ共和国代表を辞退したことだった。
「ルイスは最初から最後までキャンプに参加する。よく話し合っての決定を、我々は“喜ばしく”受け止めている」
編成責任者の安堵には理由があった。2017年、マリナーズに加入したばかりの左腕ドリュー・スマイリーが米国代表で第4回大会に出場した際に肘痛を訴え、その後、トミー・ジョン手術に至ったからだ。
会見後のランチョン。同じテーブルに座った若いテレビクルーが、さも当然といった表情でディポト本部長の言葉をなぞる。
「カスティーヨがWBCに参加しなくて安心したよ。もうあんなことは懲り懲りだからさ」
貴重な先発左腕がマリナーズのユニホームで1球も投げないままチームを去った、というトラウマ。昨年、ようやく2001年以来のプレーオフ出場を果たし、上昇気流に乗ろうとしているチームに、ペナント争いでリスクとなる要因を受け入れる余裕はない。そしてこの空気感は、MLB30球団に少なからず共通するものに思える。
ベテランの米野球メディアも、どことなく冷めている。
「アメリカが2017年に優勝して、少しは関心を持たれるようになった。今回はこれまで以上にたくさんのスター選手が出場するしね。でも、たとえアメリカが負けたとしても『さあ、これからがやっと本番(レギュラーシーズン)だよね』という感じでしょ」(「USA TODAY」のボブ・ナイチンゲール記者)
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