WBCの舞台において日本と数多くの名勝負を演じてきた韓国。WBC効果で2006年から空前のプロ野球ブームが起きたが、近年は“危機論”が叫ばれている。
一時は800万人('16年~'18年)を超えた年間観客数が昨年は600万人弱に低下。その原因は新型コロナの影響もさることながら、不祥事や国際舞台での不振も大きい。
直近2回のWBCではオランダ、イスラエルといった伏兵に足を掬われて1次リーグ敗退に終わり、東京五輪では準決勝で日本に敗れただけではなく、一部選手の無気力な態度がファンの反感を買い“恥ずかしい4位”と酷評された。
その直後に飲酒運転や禁止薬物服用疑惑などスキャンダルも相次ぎ、昨年春に世論調査会社が実施したアンケートで“プロ野球に関心がある”と答えた20代は18%しかいなかったほどだ。『スポーツソウル』の野球班の金東泳記者は語る。
「昨年春に着任したKBO(韓国野球委員会)総裁が“韓国プロ野球は今、生きるか死ぬかの瀬戸際にある”と危機感を募らせたほどです。それだけにKBOは今回のWBCを人気回復のための起爆剤にしたいという思いが強いようです」
そのために監督人事も方針転換。'15年以降、韓国代表はフリーの立場にあった監督経験者が専任したが、試合勘と現場感覚を重視すべく現役監督に任せることにした。
白羽の矢が立ったのは'21年KBOリーグ優勝のKTウィズを率いる李強喆だ。アンダースローでKBO通算152勝を挙げた現役時代は“国内最高の潜水艦投手”と呼ばれ、'05年の引退翌年から投手コーチ一筋13年。'19年に万年最下位だったKTウィズの監督に就任すると、わずか3年で頂点に導いた名将である。体調だけではなく心理状態までケアする投手管理術と継投のうまさから“マウンド運営の鬼才”の異名を持つ。金記者が語る。
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