あの午後、気温15.5度、湿度69%の国立競技場に「突然変異により高等な頭脳を得た水生昆虫」を見た。
2009年10月25日。J2のセレッソ大阪の背番号8がベンチから芝の上へ。対横浜FC。のちに「3584」と発表された観衆は香川真司のミズスマシを想起させる無音にして絹のごときドリブルを目撃した。3-0の完勝。明白に突き抜けた才能だった。
記者席にいた。新聞のコラムにここのところを書くだろうとノートに次の瞬間をメモした。
白シャツのセレッソの20番、このとき33歳の西澤明訓が、20歳の香川の突破のサポートに動き出した。しかし直後、その必要ナシと判断、さっさとコースを変えた。
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photograph by JIJI PRESS