日本サッカー史に刻まれる大きな仕事を、田中碧はやってのけた。グループステージ初戦のドイツ戦に続いて、日本がスペインをも撃破する立役者となったのだ。
12月1日に行なわれたスペイン戦は、ドイツ戦をなぞるような展開となった。前半を0対1で折り返した日本は、後半開始から攻撃のギアを一気にシフトアップする。48分、前線からのプレスをきっかけに、堂安律の豪快な左足シュートで同点とした。スタジアムの空気が一変し、日本はさらにたたみかける。
51分、右サイドの伊東純也がペナルティエリア手前の田中へつなぎ、田中は右前の堂安へパスを通す。堂安がタテへ持ち出してグラウンダーのクロスを入れると、ボールはゴール前を横切る。ファーポスト際に飛び込んだ三笘薫が、ゴールラインぎりぎりで折り返す。
スペインのCBロドリは、ほんの一瞬だが足を止めた。ボールがゴールラインを割ったと判断したのだろう。その刹那に、田中はロドリの前へ出た。三笘の折り返しを、右足でプッシュしたのだった。
直後にVARチェックが入った。三笘が折り返す前に、ボールはゴールラインを割っていたのか――。田中は「出てるかな」と取り消しも覚悟したが、主審の笛は得点が認められたことを告げた。
「純也くんからもらって律へ出したときに、折り返しでワンチャンスあるかなと思ったんですけど、律が上げるだろうなとも思ったし、(前田)大然くんと薫さんがいたので何とかボールが残るんじゃないかと。で、薫さんがうまく残してくれた。ゴール前のあそこまで入るのを信じてやり続けた部分もあったので、それが良かったと思います」
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