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[無敵艦隊からの大金星]田中碧「現実になったワンチャンス」

2022/12/10
三笘薫の決死のラストパスに身体ごと飛び込み、強国スペインを破る値千金の決勝点を押し込んだ。ベスト16進出の立役者は、東京五輪の悔しさと批判的な声への苛立ちを結果で解消してみせた。

 日本サッカー史に刻まれる大きな仕事を、田中碧はやってのけた。グループステージ初戦のドイツ戦に続いて、日本がスペインをも撃破する立役者となったのだ。

 12月1日に行なわれたスペイン戦は、ドイツ戦をなぞるような展開となった。前半を0対1で折り返した日本は、後半開始から攻撃のギアを一気にシフトアップする。48分、前線からのプレスをきっかけに、堂安律の豪快な左足シュートで同点とした。スタジアムの空気が一変し、日本はさらにたたみかける。

 51分、右サイドの伊東純也がペナルティエリア手前の田中へつなぎ、田中は右前の堂安へパスを通す。堂安がタテへ持ち出してグラウンダーのクロスを入れると、ボールはゴール前を横切る。ファーポスト際に飛び込んだ三笘薫が、ゴールラインぎりぎりで折り返す。

 スペインのCBロドリは、ほんの一瞬だが足を止めた。ボールがゴールラインを割ったと判断したのだろう。その刹那に、田中はロドリの前へ出た。三笘の折り返しを、右足でプッシュしたのだった。

 直後にVARチェックが入った。三笘が折り返す前に、ボールはゴールラインを割っていたのか――。田中は「出てるかな」と取り消しも覚悟したが、主審の笛は得点が認められたことを告げた。

「純也くんからもらって律へ出したときに、折り返しでワンチャンスあるかなと思ったんですけど、律が上げるだろうなとも思ったし、(前田)大然くんと薫さんがいたので何とかボールが残るんじゃないかと。で、薫さんがうまく残してくれた。ゴール前のあそこまで入るのを信じてやり続けた部分もあったので、それが良かったと思います」

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photograph by Masahiro Ura

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