日本との試合、ある意味で我々コスタリカに選択肢はなかった。勝ち点3をとること。それが絶対的な条件だったからだ。コスタリカは初戦でスペインに7失点で大敗した。この日本戦で仮に引き分けに終わったとしても、得失点差などを考慮するとあまり意味をなさない。できれば複数得点での勝利を――コスタリカ国内にはそんな意見すらあった。
しかし、指揮官は知的だった。彼の采配と判断が優れていたのは、日本を前にリスペクトを持ち、インテリジェンスある戦い方を貫いたことだ。勝利が大前提ではあったが、前のめりになっていれば日本のカウンターにやられると判断し、慎重なアプローチで挑んだ。5人のディフェンダーを深いゾーンに配し、日本の2列目の選手のスペースを消し去った。ボールを保持されることは構わない。耐え、後半終盤へ持ち込む。ポイントは明確なゲームプランがあったこと。いわば自分たちを格下、弱者として認識できたことが勝因だった。
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photograph by Takuya Sugiyama/JMPA