0-1で終わったコスタリカ戦。遠藤航は9回のボール奪取数と、パスを受けた回数も55を数え、チーム単独トップを記録した。放ったシュートの数も、トップタイの3本だった。
だが、コスタリカ戦の遠藤のプレーの価値は、外からこの試合を見ただけではわからないことだらけである。
例えば、脳震とうのあとに2週間ほど試合に出ていなかったから、「スタミナが切れていたのではないか」という意見があった。だが事実を知ったら、その見方は変わるかもしれない。彼はコスタリカ戦後に病院で検査を受けるほどのダメージを右ひざに負いながらプレーしていたのだから。
あるいは、遠藤が「強引にシュートを狙いすぎていた」という意見もある。これも所属クラブでの受け取られ方は少し異なる。シュツットガルトでの自主練で遠藤はかなりの確率でミドルシュートを決めており、だから今年8月のブレーメン戦で見事なミドルシュートを決めたとき、チームメイトが驚いて“くれなかった”こともあった。つまり、彼のシュートは日本にとっても大きな武器なのだ。
では、コスタリカ戦の遠藤に「もっとやれた」という意見があったのはなぜか。
それは、ドイツ戦でのインパクトがあまりに強く、期待が高まっていたからだろう。
「言葉ではなく、プレーでチームを引っ張りたい」
これが遠藤のかかげるリーダーシップ論であり、それが表れていたドイツ戦でのプレーは世界中の人々の心を打っていた。
あの試合を振り返ってみてほしい。72分頃、わずか10秒の間に5回のデュエルをみせて、最後は相手のファールを誘った。プレーでチームを引っ張ることを信条とする遠藤の良さが凝縮されていた。実際、あのプレーで、スタジアムの空気は変わった。
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