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大橋悠依――五輪2冠女王の原点は高校1年生、自滅の夏。

2022/09/06
6月の世界水泳ではメダル獲得ならず。2年後のパリに向けて再び挑戦が始まる
第一線で活躍するアスリートは、敗戦から何を学ぶのか――。東京五輪で2つの金メダルを獲得した遅咲きのスイマーが挙げたのは、高校生になって初めて挑むインターハイだった。

【Defeated Game】
2011年8月17日 全国高等学校総合体育大会
競泳女子200m個人メドレー 予選19位

   ◇

「勝つことでプラスになることはもちろんありますが、自分の場合はミスをしたり、負けたりしたときに学ぶことのほうが大きかったように感じるんです」

 昨夏25歳で初めてオリンピックの舞台に立ち、200mと400mの個人メドレー2冠に輝いた大橋悠依は、遅咲きのスイマーである。突如として急成長を呼び込んだのではない。敗北やミスを「繰り返したくない」とその芽を未然につんできたことが、2つの金メダルへとつながった。

 彼女の「珠玉の1敗」は、大橋がまだ何者でもなかった滋賀・草津東高1年時のインターハイ(北東北総体)までさかのぼる。2011年8月17日、大会初日の200m個人メドレー予選。15歳の大橋は2分19秒33の平凡なタイムで19位に終わってしまう。上位9人が出場する決勝に進むことすらできず、ショックを受けた。

「記憶にあるのはプールサイドを歩きながらタイムが出る電光掲示板を見て、ああ、ダメだな、終わったなって。どんなレースだったかはもう覚えてないですけど、そのときの感情や思考回路というのは、ちゃんと自分のなかに残っています。いわゆる自滅に近かったので」

 どうして力を発揮できず、自滅という表現まで飛び出したのか。

 実はインターハイ予選となる近畿高校選手権において自己ベストを叩き出しており、インターハイ出場エントリー全体のなかで3番目のタイムで本大会に臨んだ。このことが逆にプレッシャーとなった。

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photograph by KYODO

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