#1054
巻頭特集

記事を
ブックマークする

[対戦相手は語る・ベルギー]ヴィルモッツ「“いただき”と心の中で叫んだ」

2022/06/30
日本との'02年W杯初戦では華麗なオーバーヘッド弾を決めた。'14年はベルギー代表の監督としてブラジルW杯に出場し、ベスト8。'17年にコートジボワール、'19年にはイラン代表の監督も務めた

 キャリアで受けた手術の数は、実に12回――。日韓W杯でベルギー代表の主将を務め、計3得点を挙げたマルク・ヴィルモッツは、「本当はあのW杯には出ないつもりだった」と言う。

「日本との初戦の約3カ月ほど前に、半月板に3度目のメスを入れたんだ」と53歳になった彼は快活に振り返る。

「当然、私が本大会に間に合うとは誰も思っていなかった。すでに3度W杯を経験していたし、若手にポジションを譲りたいと考えてもいたが、監督からベンチにいるだけでいいから来てくれ、と言われたんだ」

 力強い足腰と分厚い胸板、高い得点力を兼ね備え、“雄牛”の愛称で知られた攻撃的MFは、当時の代表監督から絶大な信頼を寄せられていた。そして復帰に向けて医師と綿密なスケジュールを立て、段階的に強化試合をこなしていき、来日した時には準備が整っていた。ただし全4試合にフル出場できたのは、「日本のおかげ」とも。

「(合宿地の熊本には)素晴らしいホテルが用意され、練習施設も完璧で、人々は本当に親切だった。彼らは我々に敬意を払い、試合に出発するときは多くの市民が健闘を祈ってくれ、戻ってくる時は盛大に迎えてくれた。日本と引き分けた後でさえ、そうしてくれたんだよ! 欧州では起こり得ないことだ。私たちにとって、それはポジティブなカルチャーショックだった。また、オフには泥温泉でリカバリーをした。これで回復を早められたことは大きかったね」

 '02年6月4日、初戦で対峙した日本代表には、次のような印象を持っていた。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Shinji Akagi

0

0

0

前記事 次記事