マリナーズの特任コーチとして菊池雄星も指導する。日米通算170勝を挙げた、かつての技巧派右腕なら、打者・大谷と対峙したとき、どんな球を投げ込むのか。
大谷くんとはシーズン中に1回、シアトルのホームゲームのときに挨拶させてもらいましたけど、「ケガしないで頑張ってね」としか言えなかったですね(笑)。それくらいにメジャーでも、彼は特別な選手になっているんです。
彼の投手としての魅力は、やっぱり真っ直ぐの強さ、スピードですよね。160kmを投げられるって、なかなか日本人にはいないところです。
技術的に見ていて思うのは、彼はオフに(シアトルにある練習施設の)ドライブラインで色々とデータをとってトレーニングをやっていますよね。そこでテークバックを小さくして、出力の出し方が腕を振るというより、押し込む感じになってきたように見えます。その結果、コントロールも安定しました。ただ足を上げて投げにいくときに、少し前に屈むように倒れることがあって、そのときにはあまり制球が定まらない。スプリットの落ちも悪くなるし、スライダーも引っ掛けやすくなる印象があります。それが倒れないで真っ直ぐ入っていけると、凄くいいなって思いました。
投球全体では、今年は今まで以上により大胆なピッチングをするようになった印象があります。恐らくメジャーのバッターと対戦する中で、どこでどう曲げたらいいのかとか、そういったものを経験して会得してきた。それを背景に彼自身の中でメジャーの打者に対する感覚とか自信をつかんだことで、ああいう大胆さが出てきたのではないかと想像できます。
そう考えると、これからさらに経験を積んでいけば、投手としてはもっと良くなる可能性を持っていると思いますね。
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photograph by Yukihito Taguchi