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「『リトルライオン』と呼んでいます」ドジャース・山本由伸が“兄貴分”大谷翔平と歩んだ1年「翔平さんはみんなを『行ける』という気持ちに…」

2024/12/27
レギュラーシーズンで7勝、ポストシーズンで2勝をあげた山本由伸
世界一のチームを投打両面で支えた4歳違いの日本人コンビ。日本球界の大エースだった男は、異国の野球に必死に適応し、大谷もよき兄貴分として後輩が力を出せるように心を尽くした。2人の絆が深まる様子を現地で見続けた記者が振り返る。(原題:[兄貴分と歩んだ一年]山本由伸「リトルライオンとスーパースター」)

 11月1日、ドジャースはロサンゼルス市内でワールドシリーズ(WS)の優勝パレードを行い、ドジャースタジアムで優勝報告会を開催した。

 特設ステージで選手たちが順々にスピーチをする。ロバーツ監督の音頭でバトンを受け取った大谷翔平は、流ちょうな英語でファンに感謝の気持ちを述べ、その場を盛り上げた。“大役”を終えると「ヨシノブ、どこ行った?」と、後輩を逃すまいと山本由伸の姿を探した。

 チームメートに「ヨーシ! ヨーシ!」と促されながらマイクを握った山本は、ニコニコしながら「Thank You! ドジャーファーーーン!」と大きな声で叫んだ。端的かつ、明快なメッセージでスタジアムは一気に活気づいた。

 リーダーの風格とともにチームを引っ張る大谷と、みんなから愛される山本。大谷と山本は年齢で4年、メジャー経験で言えば6年の差がある先輩と後輩だ。とはいえ、お互いが気を遣いすぎず、いつも自然体でいられるような雰囲気が漂っている。優勝報告会での姿もまた、そんなほほ笑ましい関係性を象徴するシーンだった。

 山本は'17年にオリックスでデビューし、2年目の'18年に中継ぎで頭角を現した。'19年から先発に転向すると、'21年から3年連続最多勝と沢村賞に輝き、一気に日本球界No.1投手となった。一方で大谷は'18年にエンゼルスに移籍。直接的な関わりは、'17年9月26日に投手山本と打者大谷の対戦があるのみだった。

 距離が一気に縮んだのは'23年3月。ともにWBCの日本代表で世界一を目指して戦った。準決勝からフロリダ州マイアミへ移動し、大谷は山本、ラーズ・ヌートバー、村上宗隆、宮城大弥らと食事に出かけた。当時、「由伸が連れて行って欲しいという感じだったので、まぁしょうがなく、行った感じですかね」とニヤリ笑って明かしていた。WBC準々決勝の米国─ベネズエラ戦をテレビ観戦しながらのこの食事会が親交を深めるきっかけになった。

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photograph by Nanae Suzuki

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