2020年11月1日に行われた中村憲剛の引退発表会見は、誰にとってもまさしく青天の霹靂だった。左膝の前十字靱帯断裂の大怪我からやっと復帰し、前日には40歳の誕生日を自ら祝うバースデーゴールを決めていた。ようやくピッチに戻ってきて、まだまだやれると証明したばかりじゃないか。誰もがそう思った。もちろん僕も、心の底から驚いた。
阪神や京都の競馬場、栗東トレセンなど関西で競馬の取材の仕事が入ると、まずは合わせてガンバ大阪戦やヴィッセル神戸戦を観に行けないか検討する。そのくらいには熱心に川崎フロンターレを応援してきた。当然ホームゲームは全部行く。全部、目の前で見てきた。だからこそ、この引退のしかたには驚かされた。
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photograph by Sports Graphic Number