ボールをキープしたまま、ピッチ上で天を見上げた。オランダ戦、42分のシーン。大歓声の中で一瞬、時が止まったかのようだった。
その数秒間が、鎌田大地という選手を象徴していた。ゲームの機微をとらえ、「時間と空間」を掌握する。後日、ダラス・スタジアムの時計が見えにくかったために頭上のビジョンを見ただけと本人は説明したが、激しいプレッシャーが押し寄せる中で、なかなかできる芸当ではない。
かつてはトップ下として攻撃を彩り、ここ1年はボランチの位置で攻撃の舵を握ってきた。とくに本大会のグループステージにおいて、そのプレーはチームの中心選手という枠を超え、試合そのものの趨勢を決める存在としての凄みを帯びていた。
激戦となったオランダ戦、高い柔軟性が試されたチュニジア戦、さらにはグループの順位確定のかかった緊迫のスウェーデン戦。毛色の異なる3試合で見せた鎌田の振る舞いは、ある意味で日本が到達した成熟度を示すものだった。
直前の発言「これが最後になるかもしれない」
2度目のW杯に臨むにあたり、鎌田のスタンスは前回のカタール大会とは異なっていた。その変化を端的に示しているのが、メキシコ・モンテレイでの事前キャンプで口にした言葉だ。
「前回は(W杯)1回目で何もわからないままで、次も間違いなく絡めるだろうとは思っていたけど、今回はこれが最後になるかもしれないし、年齢もいい年齢。だからすごく大事な大会になると思う」
29歳になった鎌田は、キャリア最後のW杯になるかもしれないという切実な思いを抱いて大会に臨んだ。チームでも年齢は上から数えた方が早い。背負う責任が、前回とは大きく違うことを理解していた。
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