語り継がれる名勝負をその演者のひとり、審判が振り返る。彼しか知らない新たな景色が見えてくる。
1999年 チャンピオンズリーグ 決勝
5月26日/カンプノウ
マンチェスター・U 2対1 バイエルン
キーンら中盤の要を欠くマンチェスター・Uに対し、バイエルンは序盤からリズムをつかみ先制。後半にもチャンスを重ねるが追加点を奪えない。終盤、マンUがカードを切って攻勢に出ると、90分を過ぎて同点。さらに逆転弾を叩き込み国内リーグ、カップとの三冠を達成した。
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あの信じがたい結末に終わった1999年のチャンピオンズリーグ決勝は、私が初めて主要国際大会の決勝で主審を任された試合だった。バルセロナの本拠地カンプノウで笛を吹く機会は、同じシーズンにグループステージのバルセロナ対バイエルンで初めて得ていたが、その時はファイナルでも指名されるとは思ってもみなかった。このグループゲームも1点を争う好試合となり、終盤にバイエルンが逆転して勝利を収めた。だが、私にとって2度目のカンプノウでは、本当の奇跡が起こった。
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photograph by Getty Images