ようやく故障の癒えた昨季の実戦はわずか4大会。だが経験を積んだ錦織に焦る様子はまったくない。台頭する若手とBIG3が待つトップ10復帰へ、31歳はどんな武器を手に挑んでいくのだろうか。
空白期間は1年に及んだ。右ひじの故障で'19年全米を最後にツアーを離脱、コロナ禍もあって復帰は遅れ、'20年9月のキッツビュールでようやくコートに立てた。全仏では約1年ぶりに四大大会での勝利をつかんだが、今度は右肩に炎症が出てシーズン終了となった。全仏で復調への光は見えたが、兆しが確信に変わるだけの試合数をこなせなかった。12月に31歳になった錦織圭は、困難な1年をどう過ごし、どんな武器を携えて新しいシーズンに臨むのか。まずは復帰までの日々を振り返ってもらった。
「自分にとってはラッキーなことなんですけど、(コロナ禍がなければ)戻れたのはたぶん4月ぐらいで、その時期にみんなが試合をしていたらどうしても焦りは出ますけど、(ツアー中断で)試合がなかったので、リハビリはゆっくりじっくり、できました。時間を神様に与えてもらえた」
なるべくポジティブに、今できることをしっかり、と心がけて過ごした。ところが8月に新型コロナウイルス感染が判明、すぐに体調は戻ったが、全米でのツアー復帰は見送った。キッツビュールでの復帰戦では、ミオミル・ケツマノビッチに逆転負け。その後も勝ち星は伸びず、感覚が戻らないもどかしさを口にすることもあった。
「全仏の(ステファノ・)トラバリアとの2回戦だけは唯一、気持ちよく打てたなっていうのは感じて、それ以外はやっぱりアップダウンもすごくあるし、いいショットと悪いショットの差がすごく出ていた。そこはいつも、復帰したときはどうしても出てしまうところで」
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Takuya Sugiyama