名実ともにナンバー1。世界王者が乱立する日本ボクシング界において、この二人が歴史に名を残すチャンピオンであることは論をまたない。だがそんな彼ら自身にとって、真のナンバー1とは何なのだろうか。そして次なるターゲットとは。
最強王者同士がそれぞれの考える頂点、闘う意味を本音で語り合う、夢の対談のゴングが鳴った。(初出:Number1000号<現役チャンピオン対談>村田諒太×井上尚弥「世界王者はスタートに過ぎない」)
最強王者同士がそれぞれの考える頂点、闘う意味を本音で語り合う、夢の対談のゴングが鳴った。(初出:Number1000号<現役チャンピオン対談>村田諒太×井上尚弥「世界王者はスタートに過ぎない」)
村田 こうして尚ちゃんと二人で話をすること今までなかったんじゃない? 食事とかしてもいつもだれか他にいる感じで。
井上 そうかもしれないですね。
村田 最初は沖縄インターハイだよね?
井上 そうですね。たぶん初めて話をしたのが夏の沖縄ですね。
村田 僕は大学職員で、高校生のスカウトをしてた。あのときは「すげえ高校生がいる。だれがこいつを止められるんだ」っていうのが大会の話題だったんですよ。それが井上尚弥です。
井上 僕が高校2年生ですね。あのとき村田さんは「でも(4学年上の林田)太郎には勝たれへん」って。初めて話したときにそれを言われて、すっごい印象に残っています。
村田 こいつ、いまだに言うんですよ(笑)。
井上 でも11月の全日本選手権の決勝ではその通り林田さんに負けました。
村田 そうそう。でも準決勝までの試合を見たらインターハイのときとはまったく違っていた。だから数カ月で異常に伸びた男、というのが尚ちゃんの最初の印象です。
――二人とも高校生のときから全国大会で圧倒的な強さを見せて、その世代では抜け出た存在でした。
村田 最初に優勝したときはうれしかったですけど、「自分が抜け出ている」という感覚はなかったですね。高校生のときは上がまだあるから。「もっと上を目指そう」となる。全日本とかオリンピックとか。むしろそっちを見てましたね。
井上 上を目指すという意味では、高校のときは勝ち方にこだわっていました。「判定は納得できない」みたいな。絶対にRSC(レフェリーストップコンテスト)で終わらせないと気にくわないというか。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Mari Amita