#997
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<決戦前のプレイリスト> 稲垣啓太「僕を鼓舞する勝負曲」

2020/02/18
大好きなヒップホップで闘争本能を掻き立てる漢は、歌詞や楽曲に込められたアーティストの世界観に魅せられ、妥協を許さない姿に自身を投影し、決戦へと向かっている。(Number997号掲載)

 バックス顔負けの運動量と理論的かつ的確な分析でFWのリーダー陣を牽引する不動のプロップは、ラグビーでは常にストイックな姿勢を見せている。そんな彼が人一倍こだわりを見せるのが音楽だ。「中学時代から聴きはじめた」というヒップホップは、いつしか「自分を奮い立たせてくれる」ものに。音楽は稲垣啓太にとって欠かせないツールとなっている。

 自宅にいるときも、試合前に移動する車のなかでも、必ず音楽をかけて過ごしています。僕は試合前やウエイトトレーニング中にかける音楽を大切にしていて、ヒップホップを中心とした気分が上がるような曲をチョイスしますね。実は日本代表合宿には、マイスピーカーを持ち込んで音楽を流していました。他の選手が曲を選ぶこともありましたが、僕の選ぶ曲がいいということで、トレーニングの内容によってプレイリストを変えていたんです。でも、結局、自分が聴きたい曲ばかりになってしまうんですよ。トレーニング中に音楽を聴く聴かないで成果が違うことは、研究でも出ているんです。音楽を聴いて興奮状態で行うトレーニングと、何も聴かずに一定のテンションのままで行うトレーニングとでは差が出る、と。もちろん、僕はそういった研究データが出ていなくても、必ず音楽を聴きますけど。ラグビーのウエイトトレーニングは激しくて、テンションが低いままでやれるような生ぬるいメニューではありません。気分を上げて、気持ちのスイッチを入れていかないと、怪我にもつながる。そういう意味では、音楽は非常に大きな役割を果たしていると思います。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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