勝負事に絶対はないが、車いすテニスの国枝慎吾だけは別のような気がしていた。相手に主導権を握られる局面はあっても、必ず最後は勝つ。期待を裏切らない。だから、安易だなと思いながらも、つい「絶対王者」という冠を原稿で使ってしまう。
その王者がピンチを迎えている。1月の全豪で当時世界ランク5位のリードに初戦で敗退。4月には、去年から違和感があった右ひじを手術した。9月のパラリンピック・リオ大会をにらんでの思い切った決断だった。復帰戦は5月に日本で行なわれた国別対抗戦。約4カ月ぶりの実戦で「地に足が着かない状態」だったが、シングルスは3勝1敗にまとめた。ところが全仏では準決勝で同6位のフェルナンデスに3-6、2-6と完敗し、「(リオ開幕までの)3カ月でどれだけ浮かび上がれるか。やってみないと分からない」と揺れる胸の内を明かした。
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