昔、先輩の評論家から忠告された。
「現役ボクサーと酒を飲むのはやめておけ。付き合うのは引退してからにしろ」と。もしその選手が負けたりすると、ジムから「うちの選手をつぶされた」とあらぬ責任を追及されるというのである。また、ボクサーには好漢が多く、付き合ってしまうとつい筆先が鈍り、評論しづらくなるからともいうのである。
この忠告を戒めとし長年守ってきたつもりでいたが、今回図らずもそれを破るハメになった。私のせいではない。
引退した元チャンピオンに、慰労も兼ねて酒席を用意したことがあった。彼は終電を逸するほど飲み、酩酊していた。それが、あろうことか、今になってその男が再びリングに立っていたのである。
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photograph by BOXING BEAT