7月上旬の全日本種目別選手権を終えて、今年10月に行なわれる体操の世界選手権日本代表が出揃った。男子は6月までに開催された選考対象大会ですでに決まっていた内村航平、野々村笙吾、加藤凌平に、今大会の結果で新たに3名が加わった。そこには、予てからの悲願としてきた「打倒中国」が込められている。
内村の活躍などで、一見、体操ニッポンが復活したかのような印象がある。だが、体操界では決してそう捉えていない。オリンピックと世界選手権で6大会続けて中国に敗れ、団体での優勝を逃していることが傷となっている。
内村に限らず、昨年の世界選手権個人総合銀メダルの加藤などもいるにもかかわらず、中国との差を生じさせているのは、ある種目に強い「スペシャリスト」の存在にあった。もともと日本では、すべての種目をこなせるオールラウンダーを重視する伝統がある。それが内村のように、すべてを高いレベルでこなすことのできる選手が生まれる土壌となっている。一方で団体では中国に跳ね返されてきた。団体の決勝は種目ごとに各チーム3名の得点で争われるため、それぞれの種目で得意な選手を出せばよい。そのため、スペシャリストをそろえた中国に遅れを取ってきたのだ。
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