王国ブラジルに挑んだ試合は、またしても惨敗に終わった。
終始圧倒された90分で、代表最年長ボランチは何を感じたのか。
遠藤保仁が肩を丸めてミックスゾーンに出てきた。疲れ切った表情に、ショックの色がありありと見える。
「うーん、まぁ自分たちが今までやってきたことが何もできなかったからね」
昨年10月の欧州遠征で、0-4と敗れてから8カ月、自信を持って挑んだ試合だった。だが、結果は0-3。サッカー王国のホームゲームとはいえ、スコア的にも内容的にも光明を見出すことが難しい惨敗だった。
そこで改めて突き付けられたのは、以前よりもさらに広がった世界との差だ。その現実が遠藤の表情から力を奪っていた。
先制点を許さないはずがネイマールの一撃ですべてが狂った。
「簡単には勝てない相手だと分かっていたよ。それでも勝つために考えていたことはあった。けど、立ち上がりがね……。あれで、すべてが狂ってしまった」
日本は、前半わずか3分、ネイマールに強烈なミドルをブチ込まれ、先制された。それが、どれほどこの試合で大きな意味を持っていたか……。試合前日、日本の勝機について遠藤は、3つのポイントを挙げていた。
その最も重要なポイントが絶対に先に失点しないということだった。
「ブラジル相手に勝つには、それ(先制点を与えない)が大前提でしょ。取られたら相手に余裕を与えるし、相手のペースに巻き込まれてしまう。そうなると点を取るのがすごく難しくなる。逆に、俺らが先に点を取ればかなり面白くなるね。相手は前掛かりになってくるからスペースも出来てくる。そこを突いていけば追加点を奪える可能性も高くなる。
そういう試合展開にするためにも、まず失点しないこと。相手のショートカウンターは非常に強烈なんで、自陣での単純なミスもなくしたい。ブラジル戦は、ボールを保持する時間は短くなると思うけど、全体をコンパクトにして自由を与えない守備をする。これができれば、勝機は必ず出てくる。勝つなら1点差、もしくは1-0かなって思っている」
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