#822
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<舞姫が復活する日> 安藤美姫 「失われた“ミキ”を求めて」

わずか14歳で4回転を跳び、18歳で初の五輪を経験。
失意の時期も乗り越え、'11年に2度目の世界女王に輝くも、
選手人生の絶頂期に休養を宣言。約2年の月日が流れたが、
人々は何故、美姫がいればと想像し、復帰を待ち望むのか。
公私に渡って支え続けてきた関係者たちの証言から、
見る者すべてを惹き付ける、彼女の魅力の秘密を探った。

 両手を開き、指先を嬉しそうに眺める。

「この爪、安藤がきっかけなの」

 城田憲子の10本の爪には「銀ラメ」のマニキュアが施されていた。

 城田は、日本スケート連盟の元強化部長だ。そのときの縁で、女子フィギュアスケーターの安藤美姫とは、今も親交が続いている。

 安藤にお小言を言うのも「お目付役」の仕事だ。数年前のオフ、お洒落好きな安藤が爪を派手に装飾していたことがあった。

「その爪なんとかならないの? って怒ったんです。そうしたら『やってみてから言ってください』って返されて。それで塗ってみたら、物を持ったり、何かを開けるとき、便利なのよ。本当に丈夫で、爪が割れなくなった。それではまっちゃった。ははははは」

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photograph by Atsushi Hashimoto

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