熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
日本人審判は本当に「レベルが低い」のか? じつは“W杯3大会連続ゼロ”の厳しい現実…「槙野発言」論争の意義をブラジル人記者と議論する
text by

沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2026/11/07 11:21
西村雄一氏は2010年、14年と2大会でW杯本大会主審を務めた。ただその後、日本人レフリーが笛を吹いていない現実もある
日本人の審判がW杯に初めて参加したのは、1970年大会のこと。丸山義行が線審(現在の副審)としてグループステージ(GS)2試合を担当した。その後の大会で日本人が主審を務めた試合は以下の通り。
1986年=高田静夫が日本人として初めてGS1試合の主審を務めた。
1990年=高田静夫。GS1試合
1998年=岡田正義。GS1試合
2002年=上川徹。GS1試合
2006年=上川徹。GS2試合、3位決定戦の計3試合
2010年=西村雄一。GS4試合
2014年=西村雄一(ブラジル対クロアチアの開幕戦)
ADVERTISEMENT
※このほか、複数の大会で8審判が副審、リザーブ副審、第4審判を務めている。
試合を任されない…日本人ユニットの現実
世界で最も多くワールドカップの主審を務めたのはイタリアで、60試合。59試合のイングランド、52試合のアルゼンチン、45試合のメキシコ、44試合のブラジルと続く。
また、各大会で最も優れた主審が担当する決勝で笛を吹いた国(決勝の当事国は除外される)は、イングランドとイタリアが3大会で最多。ブラジル、アルゼンチン、フランスが2大会で並ぶ。日本を含むアジアの国の主審が決勝を担当したことはない。
今年の北中米W杯には、50の国と地域から合計170人(主審52人、副審88人、VAR30人)の審判が選ばれて参加。日本からも、荒木友輔主審と三原純副審が選ばれた。
出場国が48へ増えたことに伴い、試合数も64から104へ激増。最も主審を務めたのがフランスの9試合で、ブラジル、アルゼンチン、イタリアが7試合で続いた。
アジアでは、ヨルダンが4試合を、オーストラリアとウズベキスタンが各3試合を、カタールが2試合を、中国とUAEが各1試合を担当した。しかし日本のユニットは試合を割り当てられておらず、6試合で荒木主審が第4審判を、三原副審が予備副審を務めたに留まった。
アジアで勝てない審判はW杯に立てない
日本のユニットが試合を担当できなかったのは、2018年大会以来3大会連続。日本サッカー協会(JFA)審判委員会の扇谷健司委員長は、「試合を担当させてもらえず、悔しい。今後の大会で担当させてもらえるよう対策を練る」と語っている。
日本は審判2人がFIFAに選ばれてW杯に参加したが、試合の割り当て内容から判断すれば、世界ではもとよりアジアでも相対的に高い評価を勝ち取ることはできなかった、と考えざるをえない。
そもそも、W杯でより多くの試合を割り当てられるためにはアジアサッカー連盟(AFC)が主催する国際大会で実績を作っておく必要がある。しかし、2023年のアジアカップ、過去3シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(エリート)で準決勝、決勝の試合を担当させてもらえた日本人審判は一人もいなかった。

