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「きばっど勝っど!」鹿児島弁コールも届かず…“南北のSVリーグ新参者対決” 記念すべき“1勝”をつかんだ北海道YSと、F鹿児島の現在地
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byHirofumi Kamaya
posted2026/11/05 11:04
今季からSVリーグに参戦したフラーゴラッド鹿児島(紺)と北海道イエロースターズ(黄色)
1日目は1356名だったが、2日目は1528名とクラブ史上最多の動員数を記録。だが、数字だけを見れば、まだまだ物足りない。F鹿児島の創設時から深く関わってきた川畑俊輔GMも、地方クラブならではの難しさを明かす。
「これまでうちを応援してくださった方々は、子どもから年配の方まで、すごく幅広い年齢層なんです。今までは体育館に行けばチケットが買える、と皆さん(気軽に)来てくれた。でもSVリーグに上がったことで、チケットを買うシステムが変わり、指定席となれば価格も上がります。そうなるとハードルが高いと感じる地元の方々も少なくない。ここをどうしていくか、というのが地方クラブの課題です」
「チケットを買って、観に行く」
F鹿児島はリーグが掲げる“地域密着”を体現するチームでもある。今季、東レアローズ静岡から加入したセッター酒井啓輔も「明らかに地元の熱が違う」と語る。
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「鹿児島に住み始めてからいろいろな飲食店に行くたび、『フラゴラ、頑張ってね』と声をかけてくれる。すごく幸せだと思うし、“フェザー”の方が喜んでいるのを見ると、地域の方々も一体になって一緒に戦ってくれている熱が伝わってきます」
それでも、集客は容易ではない。その課題を克服するためにクラブが講じたのが「チケット相談会」の実施だ。スマートフォンの操作に不慣れな高齢者にも、クラブの運営スタッフが丁寧に説明し、実際に登録から購入までを一緒に行なった。当日には残席のチケットを発券し、会場に臨時の当日券売り場を設けて2日間で50枚以上が売れた。
一過性の熱量で会場を埋めるのではなく、「チケットを買って、観に行く」層を増やすために、できることは何でもする。未来を見据え、川畑GMの言葉も熱を帯びた。
「無料で配ればいいと思われるかもしれないですけど、それでは根づかないし、先がない。同じ新規参入のイエスタさん(北海道YS)と比べても、運営も、チームの結果もまだまだうまくいかないことばかりです。何しろすべて、初めてのことですから。でも、悲観的になったり、うまくいかないことから目を背けるのではなく、うまくいかないことをうまくいかせるためにどうしていくかを考えないといけないし、その姿を見届けてほしい。この挑戦が、誰かの勇気や希望になればいいなと思うんです」
創設5年でSVリーグへ…“フラゴラ”の挑戦
V3リーグに参入した頃は「奇跡」だと思われていた優勝を成し遂げ、クラブ創設から5年でSVリーグ参入を果たした。まるで夢物語のような軌跡をたどってきたチームをエースとして牽引してきたのが長友優磨だ。隣県・宮崎出身の34歳は、2023年に東京グレートベアーズから鹿児島にやってきた。
「V3の時は600人から900人の観客の中で試合をしてきて、少しずつ、フラーゴラッド鹿児島というチームを知ってもらえるようになった。地元の子どもたちもたくさん来てくれているので、僕が小さい頃にトップリーグの試合を観て『トップ選手になりたい』と思ったように、子どもたちにも『SVリーグでプレーしたい』と思ってもらえるように。僕も僕らしくプレーし続けたいです」
来年4月まで続くレギュラーシーズンの最終戦は、昨季王者・大阪ブルテオンをホームのFアリーナいちき串木野に迎える。その時、どんな姿でありたいか。そして、どんな景色を見たいのか。主将の峯村雄大が、チームの思いを代弁した。
「ここから40試合で成長を遂げて、『フラーゴラッド鹿児島を応援したい』と思われるような試合をし続ける。そして最後は、満員の会場で鹿児島中が盛り上がるような試合をしたいです」
まだまだ、ここから。SVリーグでの挑戦は始まったばかり。下ではなく、前だけを見て一歩ずつ。新たな物語を紡いでいく。





