フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「複雑な心境でした。でも…」“しょまりん”デビュー戦で本田真凜&宇野昌磨が語った本音「感じたのは昌磨くんのスケートはすごく素敵だっていうこと」
text by

野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byShigeki Yamamoto
posted2026/11/08 11:03
フィギュアスケート東日本選手権でアイスダンスのデビュー果たした本田真凜&宇野昌磨組(しょまりん)
「どんな声が聞こえても、どんな点数が出ても、『今日はよく頑張った』という気持ちだけは絶対に変えたくないと思います。今の練習を続けていけば、僕たち2人は本当に素晴らしいアイスダンサーになれる自信がある。今、インタビューに来ていなかったら、(コーチの)ステファンと涙を流して感動してたと思います。実際ステファンは泣いてましたしね」
翌朝のフリーダンスは、「四季」。本田は花、宇野は鳥をイメージし、色とりどりの感情を伝えていくプログラムだ。演技冒頭では、宇野が本田を軽々と肩に乗せて回転したあと、しゃがんだ姿勢でキープする13秒のコンビネーションリフトを披露。さらに中盤にも、宇野が本田を背中側からリフトし、何度も体勢を変化させる、難度の高いリフトを見せた。3つのリフトは、すべてレベル4の最高評価だった。
「私は、シングル出身の選手がリフトをするということ、そして身長差(が小さい)とも言われているので、『すごいでしょ』っていう気持ちで上にいました。全然怖さもないですし、自分のリフトに集中して上にいることができました」(本田)
ADVERTISEMENT
アイスダンス独自の規制が多いリズムダンスに比べて、フリーダンスではシングル時代の滑りを生かせる場面も多い。2人はリラックスし、自然に加速していく演技を見せた。
「本番中でも、昌磨くんが『ゆっくり』と言ってくれたり、2人で気をつけるポイントを練習通りに喋り合いながら滑っていました。それはすごく心強かったです」(本田)
最後のポーズを決め、2人はほっとした様子で笑う。リンクサイドにいたステファン・ランビエルコーチは、思わず涙をぬぐった。
得点を待つ間、3人は笑顔でおしゃべりをする。フリーの得点87.02点が表示されると、本田が「これはどうなの?」と聞き、宇野は両手のひらを上げて「分からない」ポーズ、そしてランビエルも「I don’t know」と続く。本田が「Is it good?」と聞き、ステファンが「I think so」と答えると、本田は「OK!」といって微笑んだ。得点よりも、自分たちの演技を純粋に喜んでいる。そんな姿だった。
「複雑な心境でした。でも…」
インタビューエリアに現れた宇野は、前日とはまるで違う雰囲気で、気持ちを吐露する。
「昨日、リズムダンスが終わってこの場に立っている時は、やれることを全部出しきった上で、結果として僕たちが望む点数にあまり反映されなかったことで、複雑な心情になっていました。僕たちは、見る人が感動する演技がすごく好きだし、正直、リズムダンスはそういう演技が出来たという思いがあったからこそ、点数とのギャップに驚きがあったんです。自分たちの練習してきたものを否定したくない思いがすごく強くて、複雑な心境でした」
「でも」と言うと、一息置いて、続ける。



