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「炊飯ジャーだけは本当に…」“直メジャー”の先輩・多田野数人(元インディアンス)が横浜高・織田翔希にエール「通訳はつけないほうがいい」
text by

近藤裕介Yusuke Kondo
photograph byTatsuo Harada/JIJI PRESS
posted2026/10/31 11:02
大学卒業後のドラフト会議で指名漏れを喫した後、MLBインディアンスでプレーした多田野数人氏(左)、「メジャー挑戦」を表明したが巨人からドラフト1位指名を受けた横浜高の織田翔希投手(右)
「織田投手に一つ、アドバイスできることがあるとすれば、お米の炊き方を覚えて、炊飯ジャーを持っていけ、ということです(笑)。ジャーだけは本当に、必需品。私は当時、五合炊きを買いました。もちろん20年前ですから、保温なんかなかったですよ。一回炊いたら、冷まして冷蔵庫に。あとはもう、実家から送ってもらうレトルトのカレーとか、ハヤシライスだとか、それを毎回ぶっかけて食べていました。食事だけが唯一の楽しみでしたね。街にもよりますけど、なかなか日本で食べたいものを食べるようにはいかないので。野球よりも、まずは生活が大変ですから」
多田野は織田について話し終えると、「僕なんかが偉そうにすみません」と恐縮した。謙虚さの裏にあるのは、24年前のあの経験だ。週刊誌報道によって受けた心無いバッシングや、ドラフトで指名漏れを味わう絶望、信頼していた人が離れていく寂しさ……。それでも、支えてくれる人の存在を頼りに前を向いて歩き続けてきた。
「人って本当に、攻撃するときはリンチみたいに一方的に攻撃してくるんですよね。私はそれを経験したので、一方的に攻撃されている人を見ると、その人の何か一個、良いところを見つけたいなと思うようになりました。それはスカウトの時に少し役立ったのかなとは思います。全て悪い人間なんてね、やっぱりいないと思いますし。逆に、全てが良いと言われる選手にも、やっぱりどこか抜けているところもあったりする。いろいろ経験して、そう思うようになりました。だから、指名漏れってあるじゃないですか、毎年。その人たちの気持ちがすごく分かる。スカウトの時は、どうにかそういう選手、そのご家族のフォローができないか、いつも考えていました」
多田野氏らしく、いろいろな野球に……
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今後は唯一無二の人生経験を、多田野らしく野球界に還元していくつもりだ。
「日米での経験はもちろん、今までやらせてもらったスコアラーも、アマスカウトもプロスカウトも、コーチも全部やりがいのある仕事でした。ただ、基本的に私は高いレベルの野球に携わることができたと思うんですけども、それを変なプライドにしたくないなっていうのが今、一番思っていることです。『俺はアメリカで何年もやってきたんだぞ!』なんて言うような人間にはなりたくない。それをプライドにしてしまったら、何もできないと思うので。まずそのプライドだけは一切なくして、少年野球からメジャーリーグまで、全て同じ目線で見られたらいいなと思っています。そうやって、いろいろな野球に携われる人になりたいです」

