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テニスPRESSBACK NUMBER
「かわいそうっていうか」錦織圭がかつて漏らした“孤独”…コートを去る第一人者がひとり背負った「重さ」とそれでも失わなかった「軽やかさ」
posted2026/10/20 06:20
F・ティアフォーとの現役ラストマッチでの錦織。世界最高のバックハンドをはじめ随所にキレのあるショットも見せたが、敗れて試合内容を悔しがった
text by

山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Yuki Suenaga
10月6日、ジャパンオープンテニス最終日。可能な限りのドラマティックな演出を詰め込んだ引退セレモニーに、どこかバツの悪そうなようすで登場してくるところが、いかにも錦織圭らしかった。1万人の視線が注がれたスクリーンには錦織のキャリアのハイライト映像が映し出される。見終わって感想を求められた錦織は、「やっぱりこうやって見ると、ケガが多いテニス人生でしたけど……」と切り出した。
映像は、ケガやリハビリに苦しむシーンよりもはるかに多くの栄光の瞬間、思わず声が出るようなスーパーショット、アクロバティックなプレーなどで構成されていたはずだ。しかしそんなシーンですら、実はそのとき隠していた痛みのこと、あるいはその無理がもたらした苦しさのことも、錦織自身は同時に思い出していたのかもしれない。
体格差を補うプレースタイルの代償
最後は、「結果どうこうよりも、努力して最後まで走りきれたこと、がんばれたことに僕は満足しています」と締めくくった。それまでの記者会見や数々のインタビューでも語ってきたように、グランドスラムもマスターズのタイトルも結局獲れなかった「結果」に対する無念は、やはり滲んでいた。
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肘、手首、脇腹、臀部、膝……20年のキャリアで経験したケガの数々は、時に手術にいたるほど深刻で治癒に時間を要したが、それは人々が心を躍らせた錦織のプレースタイルの代償だった。何しろ178cmという背丈で、時には20cmも差がある選手と戦っていたのだ。
たとえ似たような身長でも、欧米人は骨格が違う。その威力にスピードと技と展開で対抗し、しのいできた身体的負担ははかりしれない。もちろんパワーを増すためのトレーニングも過酷だっただろう。しかし、テニスが力比べではなくゲームであることを錦織はいつもコートで教えてくれた。

