ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
「身長199センチ、体重140キロ」元横綱が崩れ落ちた…高田延彦が北尾光司をハイキックKO「プロレス史上最高のフィニッシュ」はなぜ生まれたのか?
text by

堀江ガンツGantz Horie
photograph by東京スポーツ新聞社
posted2026/09/30 11:04
高田延彦vs北尾光司“衝撃のハイキックKO”はいかに生まれたか?
プレイヤーとしての立場から、髙田のハイキックによる北尾KO劇を「すごいとしか言いようがない」と最大限に評価するのは、元UWFインターのプロレスラーで髙田とも少なからぬ因縁がある田村潔司だ。
「髙田さんのハイキックは、正当なんですよ」
「髙田vs北尾戦はお互いの威信を懸けている闘いで、結果はハイキックで髙田さんがKOしたけど、あれでKOできなかったら、もしかしたら逆に髙田さんがやられていたかもしれないでしょ。
あの展開でハイキックでKOするなんて、やろうと思ってもできるもんじゃない。Uインターのトップとして負けられない立場だった髙田さんに、プロレスの神、格闘技の神が降りてきたとしか思えない。逆に北尾さんもディフェンスしようと思えばできるシチュエーションだし、UWFの試合においてはディフェンスできなかったら、やられても仕方がないから。だから髙田さんのハイキックというのは、ある意味、正当なんですよ。俺たちはそういう闘いもしてきたから。
ADVERTISEMENT
俺がリングスに上がっていたときなんか、ヤマヨシ(山本宜久)とかリングス・オランダの選手とか、反則のナックルを顔面に入れてきたからね。それすら自分で対処しなきゃいけない、どえらい危機感を持って試合をしていたから。だから北尾さんも、髙田さんとの試合に関して、普通に危機感あったはずですよ。
単なる不意打ちで倒せるもんじゃない。だって相手は身長2メートルで、体重だって150キロ近くあったわけでしょ。しかも元横綱だから。棒立ちだったとしても倒せないよ。俺ですら無理。あれは髙田さんに神が降りたとしか言いようがない」(『BUBKA 21年11月号』田村潔司インタビュー)
髙田延彦vs北尾光司での髙田の右ハイキックは、間違いなくプロレス史上に残る最高のフィニッシュだった。
あまりに刺激的だった一戦
この一戦で、プロレスファンに対してとてつもない刺激を与えたUインターは、一気にマット界の台風の目となる。
しかし、髙田vs北尾があまりにも刺激的だったことで、ファンはUインターにさらなる刺激を求めるようになり、それに応えるためにUインター側もエスカレート。その刺激を求め続けなければならない中毒症状が、のちに悲劇を招くことになることは、この時点ではまだ誰もわかっていなかった――。《第1回、第2回とあわせてお読みください》
『群像UWF3派 1991-2000 プロレスラーが生んだ総合格闘技の時代』 クリックするとAmazonにジャンプします
