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「考えるのは結局、あのことばっかり…」広島カープ・新井貴浩監督が憂う”前代未聞”薬物使用事件の衝撃「本当に申し訳ないという気持ちになる」 

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鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph byJIJI PRESS

posted2026/09/24 17:02

「考えるのは結局、あのことばっかり…」広島カープ・新井貴浩監督が憂う”前代未聞”薬物使用事件の衝撃「本当に申し訳ないという気持ちになる」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

前代未聞の薬物使用事件について「本当に申し訳ない」と語った広島カープ・新井貴浩監督

 新井は繁華街の交差点で信号が青に変わるのを待ちながら、ため息と言葉をほぼ同時に吐き出した。

「考えるのは結局、あのことばっかりだから――」

 あのこと――今年1月、カープの内野手だった羽月隆太郎が指定薬物エトミデートを使用した容疑で逮捕された事件に端を発する騒動である。新井が表を歩く気にならないのは、散歩に出ても、頭を巡るのがグラウンド上の勝敗とは全く別の、自軍の醜聞だからである。

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「大変なことだよ……。これまでになかったことだから」

 危険ドラッグに手を出す多くの若者がそうであるように、最初は背伸びやファッションの感覚だったのかもしれない。競争の激しい世界で野球だけに打ち込んできた若者にとって、束の間の逃避のつもりだったのかもしれない。だが、現役の日本人プロ野球選手が薬物使用で逮捕されるのは前代未聞の事態である。それだけ世間に与えた衝撃も大きかった。

「本当に申し訳ないという気持ちになる」

 ただ、新井の表情を歪ませているのはそれだけではない。むしろ、シーズン開幕前に垂れ込めたこの暗雲が、その後もずっとカープに携わる人々の頭上から離れないことに対して、深刻な煩悶があるという。

「やっぱり、ファンの人たちの気持ちを考えると、本当に申し訳ないという気持ちになる」

 新井は繁華街の交差点を渡りながら、少し遠い目をした。

 球団との契約を解除された羽月が5月の初公判で、薬物を使用したのは自分だけではなかったと証言した。7月にはエトミデートの売人として薬物譲渡で逮捕された男性とカープの3選手――小園海斗、矢野雅哉、田村俊介が写っている写真が週刊誌のウェブ版に掲載された。

 7月30日に矢野と前川誠太の自宅や球団寮に警察が家宅捜索に入ったという発表がなされると、報道陣がオーナーを直撃したという。オーナーの松田元は「申し訳ない気持ちでいっぱい」と発し、関わりのない他の選手が同様に疑われることへの悔恨を口にした。目に涙を浮かべていたという報道もあった。半年間も断続的に続いた騒動の末に、オーナーが報道陣の直撃によって受動的に謝罪することとなった。それは部外者である私の目にも、奇妙な状況に映った。

【次ページ】 「なんだ君は。何を言ってるか分かっているのか」

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