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「主張できる立場じゃ…」アジア杯控え→W杯で“ファンダイクにストレス”を与えた日本代表DF「勇気を持って話すべきだと」なぜ渡辺剛29歳は変貌できたか
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2026/11/01 17:01
北中米W杯オランダ戦での渡辺剛。世界最高峰のDFファンダイクにストレスを与えた提案とは
「実は3月のスコットランド戦で(瀬古)歩夢が良い形で、あのエリアを取るシーンがあったんです」
右センターバックに入った瀬古のプレーが、渡辺にインスピレーションを与えた。
「名波さんがミーティングで、良い形としてその映像を見せてくれたんです。自分は攻撃の選手ではないので、ああいうシーンを見て有効だなと分かっていても、試合で出すのはなかなか難しい。でも『逆に、こういう最高の舞台だからやってみよう。現状を変えられるかもしれない』と思えたんです」
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思い出す光景がある。
2021年3月、東京五輪に向けて組まれたU-24アルゼンチン代表戦の2戦目。瀬古がFWを走らせる長い縦パスでアシストを記録した。渡辺は本大会のポジションを争うライバルとして、その場面を素直に「やられた」と受け止めていたという。
あれから5年半。かつては「やられた」で終わっていたところを、渡辺は自らへのヒントに変えた。しかも、グループリーグ最強の相手だったオランダ戦でそれができた。
コーチに直訴した「特別な対応」
ただ、成長の跡が最も色濃く見られたのは、守備においてだった。
大きな転機はW杯まで3カ月を切った時点にあった。
3月31日のイングランド戦、渡辺は巨漢DFハリー・マグワイアとコーナーキックで競り合った。マグワイアには身長194cm、体重100kgから繰り出すパワフルさがある。かなりタイトにマークしても、ヘディングシュートまで持っていかれた。
試合後、その悔しさをSNSに投稿したのには、ある理由があった。
「あの体格の選手に真っ向勝負で勝つだけの力をつけるのは、W杯までの短期間では物理的に無理でした。ただ、W杯のことを考えれば、間違いなくファンダイク選手とかにつくことになって、あのようなシチュエーションは絶対に起きると思って……」
本番を想定した危機感から、渡辺はあるアクションを起こす。守備担当の斉藤俊秀コーチら代表スタッフにこう提案したのだ。
「同じようなシーンはW杯で絶対に起きるはずだから、特別な対応をするためのアイデアを考えていきましょう」
選手の立場から複数の対応策を提示して、コーチ陣からの意見を求めた。最終的には世界最高レベルの高さと強さを持つ選手には、守備のセオリーである1人ではなく――2人でマークにつくことが決まった。実際、オランダ戦ではフィルジル・ファンダイクに対して、渡辺と堂安律が2人がかりでついた。
この方が相手にとっては嫌なのではないか
この提案について、うがった見方をすれば「自分一人だけではマグワイアやファンダイク級の選手をCKで抑えるのは難しい」ともとれる。渡辺個人のレギュラー争いを考えれば、評価を落とすリスクと無縁ではない。しかし……。

